4. KONMASA BLDG (2021-2024) by Genki Watanabe
白目を剥き、頭上で手を合わせ、曼荼羅のような書で埋め尽くされた和室で座禅を組み、タンクトップ姿で、叫ぶ。
KONMASAさんのプロフィール写真です。はじめてKONMASAビルを訪ねたとき、この写真のイメージしかなかったので、一体どういう人が出てくるのだろうと結構緊張していたことを覚えています。が、一階のカフェでKONMASAさんの作った梅茶漬けを啜りながら、KONMASAさんのこれまでの話に耳を傾ければ、あぁなんだかこの人のこと好きだなぁ、と。等身大の人間を感じるというか、作品に対してとても真剣なのだということが、伝わってきました。
であるならば。
「あのプロフィール写真、怖いって言わたことあるんですけど、怖いですかね?」
「いや。あの写真からだと、どんな人なのか想像できなくて」
と、写真の意図について尋ねるのにモッテコイな会話もしましたが、初対面の遠慮と緊張もあって、踏み込むことはしませんでした。
その後、一階奥の暗闇で瞑想体験をさせてもらい、二階ではタンクトップを着たロボットの写真を見て、三階ではムンクの叫びのような自画像の涅槃図と相対し、四階ではたくさんのタンクトップを眺めては、窓の向こうに名鉄本線のカタンカタンを聞き。
真剣。
これを作った人は真剣なんだという前提があれば、作品に対してどういう意図があるのだろうと思考を費やすことになる。真剣なんだという前提があれば「よく分からない」「理解できない」「ふざけてるんだろう」と思考を投げ出すことはなくなる。きっとそれこそが。
KONMASAビルを巡って、当時の自分はそんなことを思いました。
その後、KONMASAさんから作品解説の文章編集を依頼されたこともあり、それぞれの作品についての意図や成り立ちを改めて細かく知りましたが、あのプロフィール写真については今でも謎なままです。
というわけで、次に顔を合わせたときは切り出してみようと思います。
返ってきた応えが腑に落ちるものでも、そうでなくても。他者を理解しようとする姿勢こそが、KONMASA作品においても、あるいはこの世界においても、大切ではないかと、そんなふうに思っています。
文と芸 渡辺元気