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3. SIDEBURNS (2018-)
2018年、約6年間住んだNYから帰国した。
結局、私がNYで得たものは「タンクトップ」だけだった。
帰国前にヨーロッパを周遊した。
オランダからイギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシャへと渡った。
とても清々しい毎日だった。
最後にイスラエルにも滞在した。
NYでは超正統派のユダヤ人街付近で暮らしていたため、イスラエルという国にとても関心があった。
全身真っ黒の衣服と帽子、カールした長いもみあげ。
世代を越えて守られていく厳しい規程。
嘆きの壁の前で祈る彼らを前に、ふと生きる虚しさを悟った。
自由に生きているはずなのに、苦しい。
死んだら抜け殻のタンクトップだけがこの世に残る。
しかし肉体に魂が宿っている間なら、そこから生まれた物質にも意志は継承されるのか。
私もこの日からもみあげを伸ばし続けた。
そして、色即是空の体感として、己でそれらを切る行為を始めた。
切られたもみあげは新しい器へと移行し、KONMASAのDNAが継承されていく。
まるで子孫を残すかのように。
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