KONMASAの誕生は1枚のタンクトップだった。
2012年にNYへ渡った。きっかけはファッションだった。
服が好きだった自分は、憧れの地で服飾の勉強をしていた。
しかし、度重なる不運に、僅か2年弱でその道を諦めることにした。
それからはフラフラと美術館めぐりを始めた。
それまでは近藤雅也と名乗っていた男が、はじめて現代アートというものに触れたのだ。
技術や技法は全く関係ない──自由なところに惹かれ、
アートについてはよく理解していなかったが、毎日のように様々な作品を鑑賞した。
その日は土曜日で、夕方からグッゲンハイム美術館がドネーション(寄付金)制で入館できる日だった。
螺旋のスロープをゆっくりと歩いていく中、一枚の絵画の前で足が止まった。
30分ほど経っただろうか。
大勢の鑑賞者がいたはずなのに、自分しかその絵の前にいないことに気がついた。
この違和感をどう言葉にしたらいいのか。
なぜか鳥肌が立っていた。
鳥肌をなぞるように腕を触るとあることに気づいた。
自分がタンクトップを着ていることに。
服が好きだったはずの自分が、今日は肌着のタンクトップ1枚で街を歩いている。
長い時間思考した。
今この瞬間、
私がここに存在したという事実を、
このタンクトップが確認した。
23歳の私はタンクトップを着続けることを決意した。
それからしばらく日が経った。
2014年4月5日、タンクトップでいる自分を記録として残した最初の日。
1年に1度は必ずタンクトップの自分を撮影している。
私がこれからしようとすることは多くの人には理解できないだろう。
しかし、これは私が唱える「自由」なのだ。
THIS IS A TANK-TOP