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10. KONMASA47 (2024-)  by Takamasa Sakai
 

「タンクトップの人」がある日、私の陶磁工房にやって来た。

不思議な事だが、私は10年ほど前に自分の制作工程の動画を撮った。

それは工房開設10周年記念パーティーで投影したものなのだが、

そこに映り込む自分は意図的にタンクトップ姿で撮影に挑んだ。

それは制作工程には全く関係なく、視た者が

「あれ?ところでなんでタンクトップ姿?」

と気づいたら面白いなと思ったからだ。

 

その10年後「タンクトップの人」がタンクトップを持って私の前に現れたのである。

そして、河原温にかなりの刺激を受けている人だった。

割愛するが、私も河原温は制作活動に直接ではないにしろ、意識するアーティストの一人だ。

つまり、「タンクトップの人」が私の前に現れたのは、偶然ではなく必然なのである。

その「タンクトップの人〝KONMASA〟」は自ら着て全国47都道府県を周ったタンクトップを持参し、陶磁器にしたいと言う。

そこで、タンクトップをそのまま泥漿(液状にした粘土)につけ込み、

乾燥させて1300度で焼成。このタンクトップを砕き、破片を47都道府県に配ると言う。

このKONMASAの企みを聞いた時、私は日本神話が過ぎったのである。

日本一周をしたタンクトップが大地(土)をたっぷり含み、

火に包まれギュッと凝縮される。(実際に2割弱の収縮をする)

そして破壊され全国に飛び散る…。まさに火の神「カグツチ」を髣髴とさせるではないか!

KONMASAと私が産み出した陶磁器タンクトップは、「イザナギ」と「イザナミ」との間に生まれた神「カグツチ」で、

火の神を産んだ火傷で「イザナミ」が死に、その怒りを生まれた子「カグツチ」に向け剣で殺す。

KONMASAがハンマーで砕く様そのものである。

カグツチの血や亡骸から多くの神々が生まれたように、全国に飛び散ったタンクトップの破片は

新たなる物語を創り出すであろう。

by Takamasa Sakai

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