6. CARD (2022-)
2022年7月29日から8月9日まで河原温の「I Got Up」展が、
国際芸術祭「あいち2022」連携企画事業としてKONMASAビルで開催された。
私の目的は、作品「KONMASAビル」に「I Got Up」を展示することで生じる、
究極の瞑想空間を形にすることだった。それが私の一つの目標でもあり、
夢だった。
苦難もあった展覧会だったが、河原温作品が引き寄せてくれた様々な一期一会は、
渦のように広がり、それは目には見えないが、とても眩い時間だった。
私は自分が生きている間に、どれだけ特別な人に出会えるのだろうかと考えた。
自分に影響を与えてくれた人物、家族や友人、仲間。
仮にその人たちに裏切られたとしても、
人を信じたその瞬間に生まれる純粋な感情はとても美しいものだ。
私は2022年11月1日から、河原温が「I Got Up」や「I Am Still Alive」でしていたように、
あるカードを人に配り始めた。
カードは2枚1組になっており、1枚は自分が出会った特別な人たちに配り、
もう1枚は自分が半永久的に保管することにした。
人に配るカードの表面には「THIS IS NOT A TANK-TOP」の文字と、
三桁のシリアル番号がゴム印で押されている。裏面には印刷で
「このカードはKONMASAがタンクトップを脱いだ時、もしくはKONMASAの死亡が確認された時にアート作品となります。」
と書かれている。
私が保管する方のカードは
「THIS IS A TANK-TOP」の文字と、三桁のシリアル番号がゴム印で押され、裏面には
「このカードはKONMASAがタンクトップを脱いだ時、もしくはKONMASAの死亡が確認された時に紙切れとなります。」
と印刷されている。
カードを重ねた状態で、シリアル番号の数だけカードに穴を空ける。
私のサインなどは入れず、その穴の位置こそが、私がカードを渡した証拠である。
毎日ではなく、その瞬間に、その出会いが重要だと感じた時、カードは発行される。
出会いは人生の分岐点であり、これは河原温の「I Got Up」を展示しなければ生まれなかった行為だ。河原温は間違いなく私の人生を変えた出会いなのだ。